【光の屈折 ( ニュートンがこだわった、今のところ否定されているアイデア? ) 】
中学で光の屈折について学びます。塾専売品の問題集では次のような解説が一般的です。
この教材はたとえば図2の説明に「直進する線より(内側にくいこむ)ように屈折」と書いてあります。教科書的に「入射角は屈折角より大きい」と書いてあるだけの教材もよくあります。
水やガラスに入る時と出る時で形が同じパターンになりますから、絵が得意な人は言葉の助けなしに正解します。
都麦出版「学年別みるみるわかる中学理科1」より
それにしても勘違いしやすい問題です。
個人的には、中学生のころから次のように考えて乗り切ってきました。硬くて密度が大きい方へ曲がりますから、「光は境界面で重いものに引っ張られて曲がる」と考えました。
実は内心ずっとそう考えていたのですが、生徒さんに、「なぜ曲がるのか?」と質問されました。
「光は粒子としての性質と波動としての性質を持つ」という科学入門書 ( ブルーバックス等 ) に書かれた程度の話は知っていましたが、何せ専門は物理ではありません。そこで調べてみました。
「重いものに引っ張られて曲がる」を言いかえると、「光は万有引力に引っ張られて曲がる」となります。
ネットにはこの件に関して物理学者の方々の研究がたくさんありましたが、残念ながらそれを理解する数学的リテラシーがありません。また、引力説は否定されているようです。
中学生の質問に対する答えはないものかとさがしたところ、次の方のサイトに説明がありました。著作権の関係から詳しくはリンク先をご覧ください。
そこに書かれた内容に関連した質問は、授業でお願いいたします。
中学の教科書には、光の速度が光が通過する物質によって変わることは、今まで書かれていません。中学の先生がこのような説明をしたという話も、個人的には聞いたことはありません。
この説明は英語圏では普通なのかもしれません。イギリスのネット講座サイトにアニメが載っています。
このサイトでは次のように光の速度が変わる理由も説明しています。
これにつきましても詳しくはリンク先をご覧ください。
山口大学教育学部が公開している資料にも同じことが書かれています。
専門家先生の明快なご説明をリンク先で見ていただくことにして、私の駄文説明は省きます。
この光の粒子論の考え方を参考にすると、高校物理で学習するホイヘンスの原理(YouTube)を知らない中学生も、光の屈折のメカニズムが大まかに納得できたり、自然現象について関心が高まると思うのですが、なぜか教科書には載りません。
授業で、余談として、この説明を紹介することにしました。(この説明をしても作図練習は欠かせません。授業の大まかな流れは以前と同じです。)
この件とは別に水中の魚が見える位置の錯覚について質問がありました。
教科書や参考書には下のような図がかかれています。テストでもこのように書かないと減点されます。
授業で出された質問は「水中にあるものは、なぜその真上方向にあるように見えるのか」でした。
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これは私も疑問でした。説明を読んだことも聞いたこともありませんでした。授業の後1時間ほど作図してためし、わからないのでしばらくネットで調べました。
次の方のサイトに説明がありました。
サイト「FNの高校物理 『光の屈折(水中の物体の見え方)』」より
これも著作権の関係から詳しい説明はサイトを訪問してください。
なかなか明快なご説明です。中学生には少し難しいかもしれませんが、授業で補足説明することにしました。2年生と3年生には復習の時に説明します。1年生の学習範囲ですが、話がこんがらがる恐れがありますので、初めて学習するときはこの話は省略します。
この図自体は、高々の前期試験でも受けなければ、試験には出ないと思います。
おまけで知覚心理学の研究はないものか調べてみました。あまり時間をかけませんでしたが、次の研究しかヒットしませんでした。
光学的な光の経路にくわえて、知覚の恒常性が関与しているらしいと論議されていましたが、詳しいことは解明されていないようです。